ご覧いただき、ありがとうございます。
クラシックカーキーキャップをスカルピーで作製した過程をご紹介します。
1.0 デザイン
1.1 資料探し
クラシックカーの資料を探します。
今回はトヨタ博物館の車両データベースを参考にさせていただきました。
実際に見に行ったことがありますが、古い車から最新のものまで多くの車を見ることができました。
また、すべて実動の状態で維持されているようです。
1900年ー1920年までの車がヘッドライトが丸目でかわいらしいのでチョイス。
1.2 1Uサイズへデザイン
車らしさを表現しつつも1Uサイズに落とし込む必要があります。
ここでの注意として
- 型取りが可能
- 塗分け、色分けが可能
- それっぽいけど、なにものでもない
を意識しました。
1.型取り可能
これはかなり難しいところです。細い→折れる 中空→型から取れない などの制約がありますのでパーツはすべて太い面で接する必要があります。
2.塗分け、色分けが可能
あまり詳細にデザインしすぎると後の色分けで自分が苦しむのでデフォルメも意識。
3.それっぽいけど、なにものでもない
これは特定の車を作りたいわけではなかったので、クラシックカーらしさを残しながらもどれでもないものを目指しました。いくつかの車の特徴を見つつ、共通項を出して概念としてデフォルメしました。
2.0 原型づくり
原型はスーパースカルピーを使用しました。
プロの造形士がドールなどを作るときに使うようです。オーブンで焼くことによって硬くなりますので、作業を一時中断も容易です。超高級でなかなか手が出せませんでしたが…ついに!!
いろんな種類の粘土を使ったわけではないですが、それでも違いが分かるほど盛る、切る、均すがスムーズにできました。
2.1 概形を作る
市販の自作キーキャップ用の軸部分に粘土を盛っていきます。
ここでようやく立体になるので、バランスなどを調整しながら後の造形へとつなげます。
概形完成!
— ジョン・マイヤー・キーキャップ (@kiriman_works) 2024年1月4日
これまた何に見えますか…?(見えてほしい🤣)
形の変なとこわかったので作り直します💡 pic.twitter.com/Qh4G0V1Tyz
2.2 調整をする
概形ができたところで削ったり、盛ったりしてバランスの調整を行います。
- ボディを盛る
- タイヤを貼る
- タイヤハウスを盛る
- バンパーを盛る
- ヘッドライトをつける
そうすると、こんな感じに。
そこはかとなく漂う🦀感…
— ジョン・マイヤー・キーキャップ (@kiriman_works) 2024年1月6日
いや、セミの幼虫感…
クラシックカーはいずこへ🥲 pic.twitter.com/DrI6x5DozA
2.3 細かい彫りこみ
概形が決まったので、細かい作りこみを行いました。
具体的にはフェンダーのメッシュ部分を削り込んで細いラインを立たせる。左右にはダクトを彫りこむ、エンジンルームを開けるための機構(溝)を彫りました。
また、ヘッドライトは後にレジンを流し込むためにまずは凹をつくりました。
タイヤはしっかりと溝を彫り、ホイールも再現しました。タイヤハウスを後でかぶせたことで立体感が出たと思います。
で、完成したのがこちら。
クラシックカーキーキャップ
— ジョン・マイヤー・キーキャップ (@kiriman_works) 2024年1月8日
こんな感じになりましたーパチパチパチー👏
はい盛りすぎてハマらないーパチパチパチー👏#自作キーキャップ pic.twitter.com/7LVBcEVXaD
2.4 再度の調整
盛りすぎてハマらないーと書いてある通り、はまりませんでした笑
1Uいっぱいいっぱいにしたためです。すでに焼成後だったため、やすりで干渉する部分を削って、なんとか完成しました。
入った! pic.twitter.com/akoKL1RrDP
— ジョン・マイヤー・キーキャップ (@kiriman_works) 2024年1月8日
3.0 注型
ここからは原型を使って注型するための準備を行います。
このあたり、通常運転のため写真はありません…
詳細が気になる方はコメントなどでご質問ください。
3.1 型取り
シリコンを用いて、型取りを行います。私が使っているのは食品にも使用できるものです。柔らかめが気泡抜けがよいため使用しやすいのですが、耐久度としては硬さ:普通のほうが優れております。いまは硬さ:普通を使用しています。
気泡を抜くためにシリコンを流し込んだ後は数十分冷蔵庫に入れておき、硬化を遅らせます。
ただし、この方法をとると後程常温に戻って硬化が始まってからも気泡が出てくることがあるので定期的に確認が必要です。
3.2 試しの注型
普段使っているレジンは2液性のため、硬化まで時間がかかります。
まずはUVレジンで試してみました。
クラシックカーキーキャップ
— ジョン・マイヤー・キーキャップ (@kiriman_works) 2024年1月18日
試しにUVレジンで注型
キー部には間に合わないので色塗ります💡
ほんとは多色のレジンで作りたかった pic.twitter.com/CnaNgbZLyA
きれい!!!!!
3.3 注型時の注意点
下が型の写真です。
ぱっと見だとわかりづらいですが、気泡が潜むポイントがたくさんあります。
- ヘッドライトのくぼみ +(見えないけど)ヘッドライトの縁
- バンパーの小さなでっぱり部分 +バンパーの返し部分
- フロントグリルとバンパーの段差
などなど。これらすべてに気泡が入ります。レジンはあらかじめ真空引きをしますが、流し込む段階でこれらに気泡が残ります。そして、簡易真空引きでは取りきれません。
地道に細い棒でつついて出します。
固まった後に気泡が入っていたら泣く。 泣くしかない。
気を付けていても見えないところに気泡が残るし、硬化時にも発生するのでそこが歩留まりに影響してきます。こればかりはどうしようもないですね。
おわりに
ご覧いただきありがとうございました。
色がついていく過程については、次の記事で段階的にまとめていこうと思います。
また、頑張って作ったクラシックカーキーキャップはBOOTHに出展しています。
よければご覧ください。
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それでは次の記事でお会いしましょう。